【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長 、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2024年度診療報酬改定で高齢者救急の主な受け手として新設された地域包括医療病棟は厳格な施設基準も影響し、届け出に二の足を踏む医療機関も多いようだ。グラフ1は、都道府県別の届け出数であり、100病院に満たない状況(9月1日現在)だ。
14年度診療報酬改定で地域包括ケア病棟が新設された際には、同年7月1日時点で305病院の届け出があったことからすると極めて低調と言えるだろう。当時は、リハビリテーションについて1日2単位包括であることとデータ提出は義務化されたが、それ以外は非常に使い勝手がよい病棟であったのだろう。
連載第227回でも取り上げたが、「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)や院内転棟の極度の制限、在宅復帰率、ADLの低下5%未満などの施設基準をクリアできないため、地域包括医療病棟に転換したくても難しい病院も多いのかもしれない。本稿では、地域包括医療病棟をすでに届け出た先行病院の事例からその収益性を転換前後で比べ、地域包括医療病棟がマッチする病院を探っていく。
グラフ2は、地域包括医療病棟の転換前後の患者1人1日当たりの診療収入である入院診療単価について病院全体の値を比較したものである(※n=11)。
グラフ2から、
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次回配信は12月9日を予定しています
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